第5回 神戸看護学会 学術集会長 挨拶
このたび2020年10月24日(土)に、神戸市看護大学にて第5回神戸看護学会学術集会を開催させていただく予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックの影響でオンラインでの開催となってしまいました。
本来の学術集会は多くの人々が集い、講演を聴いて学ぶだけではなく、交流を通して質問や意見交換をしながら、学問としての奥行きを感じとり深めていくものだと思います。しかしながら、感染防止対策を十分にとることが難しい状況であり、残念ではございますが苦渋の選択となりましたことをお詫び申しあげます。
第5回の学術集会のメインテーマは「看護の原点回帰と新たなる挑戦」です。このメインテーマを考えた時には、新型コロナウイルスのことは知るよしもありませんでした。しかし、奇しくも新型コロナウイルス感染症に対する看護職の活動は、これまで私達が経験したことがない新たなる挑戦となりました。そのため、当初は予定しておりませんでしたが緊急企画として「新型コロナウイルス感染症への看護職の挑戦」と題するシンポジウムを追加致しました。シンポジウムといっても、一同に集ってディスカッションを行うことが困難ですので、さまざまな立場の看護職の皆様からの報告内容をお聴きいただき、ご参加の皆様ご自身の中で、今後私達は、新たな時代の新たなる看護をどのように構築していけば良いのかを考える機会にしていただければと思います。
また、新たなる看護を考えていく際に重要となるのは「原点回帰」だと思います。新たなことに挑戦する際に、迷いが生じたり、どのような方向性を選択するべきなのかを考えたりする時などに、原点に立ち返り、本来の意義や目的を確認することが求められます。本学術集会では、看護の新たな可能性に挑戦していくためにも、看護の本質、看護の原点とは何かについて、立ち返って考えてみたいと思います。それはごく当たり前のことで、意識せずに日々の看護実践の中で行われていることもしれません。そこに包含されているケアの意味を再認識することが、大切だと考えています。そうすることで看護の本質からずれることなく、新たなことを取り入れていけると考えています。「看護の原点回帰-Comfortの視点から-」と題した集会長講演や、「看護実践から臨床知を見出す」シンポジウムAでは、こうした看護の本質を考える機会にしていただければと思います。
さらに新たな時代における看護の挑戦については、看護の重要性に対する社会の認知度を高め、発展させていく上で大切なことですが、今回はICNの元会長として、世界の看護界でリーダーシップをとってこられたご経験をお持ちの本学の南裕子新学長に「新たな時代を築く看護の構想力」について教育講演でお話いただきます。
約1ヶ月間のオンラインでの公開となりますので、参加者の皆様はその間、好きな時に何度でも、講演内容を繰り返してご視聴いただくことが可能です。本学術集会を通じて、看護の原点を大切にしながら、未来を切り拓いていく看護の夢や構想力についてともに考えていきましょう。
2020年10月吉日
第5回神戸看護学会学術集会長 江川幸二 (神戸市看護大学)