第4回神戸看護学会学術集会
大会長 林千冬
(神戸市看護大学 基盤看護学領域 看護管理学分野 教授)
2016年に神戸の地で誕生した神戸看護学会が、早くも4回目の学術集会を開催する運びとなりました。日頃からのご支援とご協力に心から感謝申し上げます。
第4回学術集会のメインテーマは、「看護の本質を守り抜く―看護を語り、語り継ぎ、語り広める―」としました。「看護の本質」とはまたずいぶん大風呂敷な、とお思いかもしれません。けれども、少子高齢多死社会の進行、厳しさを増す社会保障制度改革、人々の価値観の多様化や社会格差の拡大といった社会変動の中で、今ほど看護の本質とは何か、看護職者とは何をする人かが問われている時代はないと感じます。
臨床現場の高速大回転の忙しさは、相変わらず医療従事者全体を疲弊させています。根本原因には、先進国最下位ともいえる従事者配置数の少なさがあります。しかし現実には、根本原因の解決よりも、医師の仕事を看護師に、看護師の仕事を看護補助者にというトコロテン方式のタスク・シフティングが進行しています。管理者層は経営雑務に追われ、ベテラン・中堅層は負担と責任の重さにあえぎ、若い新人層は目の前の業務をこなすのに精一杯。こうした中でも看護の本質を見失わないためには、互いに看護を語り合い、先輩から後輩へと語り継ぐことが不可欠です。
一方、われわれ看護職者は、広く市民に理解され、活用され評価されてこそはじめて、専門職としての定位置を得ることができます。だとすれば、社会からの理解と認知を勝ち取るため、看護とは何か、看護職者とは何をする人かを、患者・利用者はじめ社会全体に向けて語り広めていくことが、もうひとつの重要な役割でもあるといえます。
ご参集のみなさまと共に、ぜひこれらのテーマを多様な角度から考え、率直な議論を交わせる、活発な学術集会にしたいと考えております。そのための最強・最良の支援者として、教育講演には川嶋みどり先生にご登壇いただきます。また、川嶋先生には、学術集会翌日のポストセミナーとして、看護の本質が体得できるような研修もあわせて企画していただきました。
本学術集会が、「看護の本質」の言語化と、進化発展の方策を共に考える良き機会になりますことを心より願っております。
皆さまの学術集会への参加を心よりお待ちしております。