ごあいさつ

 2016年に神戸の地で誕生した神戸看護学会が、早くも10回目の学術集会を開催する運びとなりました。日頃からのご支援とご協力に心から感謝申し上げます。

 第10回学術集会のメインテーマは、「その人を知ることから広がり深まるケア」としました。
 このテーマは、私たちは“患者さんのことをどれくらい理解し、それを看護ケアにつなげられているのか“という疑問がきっかけとなりました。看護師にも経験や知識に基づいた考えや見方があり、自分の考えを抜きに患者さんのケアをすることは難しいと思います。また、最近では病院経営的な視点も踏まえて患者さんの治療やケアを考える必要があります。こんな時代だからこそ、今一度、患者さんにとってよい看護ケアをするために、私たちはどう考え実践したらいいのか―こうした問いを基調として、本学術集会を開催したいと思います。
 今回は臨床現場である病院が主催となります。当院のCNSたちにも協力を得て日常の看護実践のなかでの具体的な話題を提供することで、参加者の方々が自分の看護ケアを振り返ったり、語ったりできる場となるようにと考えています。また、現在、看護について学んでいる学生の皆さんにも、看護師として働いたときにどんな看護ケアが実践したいのかが想像できる場にしたいと思っています。
 特別講演には、現象学者である村上靖彦先生をお招きし「ケアについてもう一度考える」というタイトルで講演をしていただけることになりました。看護師に限らず、いろいろな職種や場所でケアをする人々を通して、改めてケアの意味について考えられる場にしたいと思います。この講演を通して、いつも自分が実施している看護実践をこれまでと違った視点で見ることができ、一味違った明日からの看護ケアにつながればうれしいです。
 今回の学術集会が貴重な交流の場になればと願っております。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

第10回神戸看護学会学術集会大会長 小林 由香 
(神戸市立西神戸医療センター 副院長兼看護部長)