第6回 神戸看護学会学術集会 プログラム

会 長 講 演

 「地域のレジリエンスをささえる看護」

 レジリエンスという言葉は一般的にも使われるようになりましたが、危機や逆境からの「回復力」「適応力」と和訳されることが多いようです。2020年は世界が100年に一度とされるCOVID-19という危機に遭遇しました。その影響は地域に暮らす人々の生活、医療、経済、教育、芸術をはじめとするあらゆる分野に及び現在も続いております。
しかし、このような影響のうちいくつかはCOVID-19以前からも地域が直面していた危
機であります。潜在していた危機もあれば、認識されていた危機もあったと思います。さらに、今回のCOVID-19のように複数の危機が重なる場合、地域は、どのようにこれらの危機を乗り越えればよいのでしょうか。
地域のこのような危機に対して、看護職はどのように地域の回復力(レジリエンス)を支えることができるのでしょうか。
本講演では、阪神大震災での被災経験から、レジリエンスの概要と看護、レジリエンス研究の流れと課題についてお伝えしたいと考えております。
なお、本学術集会のプログラムでは、レジリエンスの分野で実践と研究が進んでいる災害看護、そしてCOVID-19以前から地域が直面していた危機として認知症を取り上げ、当事者の健康と生活を支える看護について企画致しました。地域のプライマリー医療を支えるテレナーシングの現状と未来についての企画では、ポストコロナの新しい看護を感じて頂けるのではないかと思います。オンデマンド開催ではありますが、皆様と多くの学びを共有できますことを楽しみにしております。

 講師:池田 清子 (神戸市看護大学 教授)
    小山 富美子(神戸市看護大学 准教授)

 

特 別 講 演

 「地域のレジリエンスをささえるまちの減災ナース(仮)」

 講師の小原真理子先生は、2018年より日本災害看護学会認証「まちの減災ナース指導者」養成研修を開催し、すでに多くの修了生を輩出されています。
まちの減災ナース指導者は、静穏期において、居住地域の住民を対象に減災活動を実施し、各地域の自主防災組織や市区町村などの居住地域の行政と、医療、自治体(住民)との連携・協同のキーパーソンとなる人材として期待されています。
自然災害が多発している近年、看護はこれまでも、災害発生時から被災地に出向き、迅速な医療支援、健康・生活支援、公衆衛生支援等の様々な場面で活躍してきました。まちの減災ナース制度は、さらに一歩踏み込み、生活圏内で減災活動ができる人材育成の不足に着目した、新たな看護の可能性を開く人材育成制度です。本講演では、静穏期の減災活動における看護の役割をどのように位置づけ、研修されているのか、そして、研修内容をどのように発展させているなど、修了生等の活動実例を含めてご講演頂きます。数多くの災害から立ち上がってきた看護の経験と回復力(レジリエンス)を未来に繋げ、さらに発展しようとするこの人材育成の取り組みから、多くの学びを得ることができると考え企画いたしました。
さらに、日本災害看護学会副理事長として資格制度の基盤を小原先生とともに築いてこられた、神戸市看護大学の南裕子学長を迎え「まちの減災ナース指導者」資格制度の新たな展望について対談頂きます。本講演と対談から、居住地域の減災における看護の役割について、ともに考える機会としたいと考えます。

 講演 地域のレジリエンスをささえるまちの減災ナース
     講師:小原 真理子(清泉女学院大学 教授)
 対談 まちの減災ナース指導者制度の展望
     小原 真理子(清泉女学院大学 教授)
     南  裕子 (神戸市看護大学 学長)

 

特 別 企 画

 「災害から立ち上がる看護~神戸からのメッセージ~」

 2019年、私たちはCOVID-19という新たなウィルスが蔓延し、医療者だけでなく世間一般の方まで広く、これまでの生活様式や考え方を変更せざるをえない状況となりました。
本学会でCOVID-19が日本中に広がってからの病院や看護の状況を報告するということも意義のあることと思いますが、企画立案の段階で今回の体験を振り返っていくうちに過去の経験から今回に生かされたことも多くあるのではないかということに気づきました。
そこで、この特別企画では、私たちが過去に経験した阪神淡路大震災を振り返り、その体験が今回のCOVID-19の看護や看護管理、組織としての対応、対策にどのように生かされたのかについて考える機会としたいと思います。それを考えることがまた新たなる災害や困難へ立ち向かう準備、心構えにつながるのではないかと考えています。
今回は、病院と看護協会という違った組織でCOVID-19に立ち向かう2名の講師の方からご講演いただきます。
 加えて、今、働いている看護師も地震の体験や記憶がない人が多く入職してきています。あの経験を風化させないように、後輩看護師たちに伝えていきたいということも今回の企画意図の一つとしてあります。
阪神淡路大震災を体験された方も、体験されていない方も、ともにCOVID-19と戦っている看護職の皆様の力になりたいと考え企画しました。

 講演1 病院で働く看護師、看護管理者の立場から
       講師 : 濱本 カナコ(神戸市立西神戸医療センター 副院長兼看護部長)
 講演2 看護協会で災害支援ナースをたちあげられた組織の立場から
       講師 : 西口 久代(公益社団法人兵庫県看護協会 専務理事)

 

一 般 企 画 Ⅰ

 「地域で生活する認知症高齢者の健康と生活をささえる看護」

新型コロナ感染症流行による度重なる緊急事態宣言の発令や活動自粛の継続は、高齢者の生活に多大な影響を与えています。身体活動はもちろん、社会活動も制限されている中、認知症高齢者やその家族の方の生活への影響ははかりしれません。そこで今回は、地域で生活している認知症高齢者やその家族がおかれている最新の状況や、その中で実践されている看護と取り組んでいる研究を紹介するとともに、今後の課題や展望について考え、新たな看護実践に取り組んでいくための機会にしたいと考えています。講師には、日頃より認知症高齢者の医療やケアに尽力している3名の講師をお招きし、それぞれの立場から現状と取り組みについてご講演いただいた後、3者での対談を行い、地域で生活する認知症高齢者の健康と生活をささえる看護について考えます。

 講演1  コロナ禍における認知症高齢者の状況と取り組み:神戸市
  講師:前田 潔(神戸大学名誉教授、神戸市認知症対策監、
          神戸学院大学総合リハビリテーション学部 特命教授)
 講演2  コロナ禍での地域における認知症高齢者の状況 と取り組み
     老人看護専門看護師および認知症疾患医療センター副センター長の立場から
  講師:鶴屋 邦江(医療法人実風会新生病院 
           認知症疾患医療センター副センター長兼看護部長 老人看護専門看護師)
 講演3 本学での取り組み(もの忘れ看護相談、もの忘れ看護電話相談、オンラインミニ講義)から見えた認知症高齢者のケアのあり方
  講師:坪井 桂子(神戸市看護大学 老年看護学分野 教授)

 対談 「認知症高齢者の健康と生活を支えるための課題と今後の展望など」
      前田 潔(神戸大学名誉教授、神戸市認知症対策監、
           神戸学院大学総合リハビリテーション学部 特命教授)
      鶴屋 邦江(医療法人実風会新生病院 
            認知症疾患医療センター副センター長兼看護部長 老人看護専門看護師)
      坪井 桂子(神戸市看護大学 老年看護学分野 教授)

 

一 般 企 画 Ⅱ

 「看護に活かすポジティブ心理学」

 病気や災害を経験しても、豊かな人生を生きている人もいます。ポジティブ心理学は、1990年代後半に提唱された新しい学問で、個人の幸せと社会の繁栄をもたらす心と行動のあり様について探求しています。医療従事者はコロナ禍によって大きな影響を受けました。ケアに行き詰った時や看護師自身が困難に直面した時に、ポジティブ心理学はヒントを与えてくれます。
 看護のためのポジティブ心理学(医学書院)や看護師のための「困難を乗り越える力」(メヂカルフレンド社)の著者が、看護職に向けて熱く分かりやすく語ってくれます。
ポジティブ心理学を学んで、看護に活かしませんか?

 講演1 ポジティブ心理学とは何か、最新の研究の動向に基づいてご紹介します。また、レジリエンスなどの概念の位置づけや看護学との関連についてもお話しします。
  講師:千葉 理恵(神戸大学大学院保健学研究科 看護学領域 教授)
 講演2 ポジティブ心理学を活かして、看護職が困難を乗り越える、成長していくための具体的な実践方法をご紹介します。
  講師:秋山 美紀(埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科 教授)
 討論
  リエゾン精神看護専門看護師の立場から
   川村 修司(神戸市立医療センター中央市民病院 精神看護専門看護師)
  看護管理者の立場から
   上原 京子(公益財団法人復光会垂水病院 副看護部長)
  福祉の立場から
   酒井 恵美子(神戸市 福祉局ひきこもり支援室 社会福祉士)
  看護学生の立場から
   神戸市看護大学 学生

 

一 般 企 画 Ⅲ

「地域住民の療養生活を支えるテレナーシングの現状と未来」

コロナ禍では、地域住民は感染のリスクを恐れて、健診や受診を控える傾向があり、慢性疾患の重症化が進行することが予測されています。このような状況下において、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を活用した医療サービスがすすんでいます。本邦では、2018年4月に「オンライン診療」が制度化され、2020年4月には、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための時限的・特例的な対応として、電話やオンライン診療システムなどを用いた初診が解禁されました。
コロナ禍で社会がオンライン診療の利点を経験した今、ポストコロナ社会においても、有用性やリスクを再定義して、継続されることが予測されます。一方で、電話やオンラインシステムなどのICT を活用した看護の提供体制は確立されていません。そこで、慢性疾患患者の療養生活を支える在宅医療の在り方として、オンライン診療や、看護の現状、テレナーシングの研究の変遷と現状について紹介し、今後の課題や展望について検討いたします。

 講演1 「慢性心不全患者の在宅医療のあり方と再入院予防にむけて」 
  講師:谷 知子(神戸市看護大学医科学分野 教授)
 講演2 「慢性疾患患者へのICTを活用したテレナーシングの実際とオンライン看護の可能性」
  講師:水川 真理子(神戸市看護大学いちかんダイバーシティ看護開発センター特任講師 慢性疾患看護専門看護師)
 講演3 「慢性疾患患者へのオンライン診療、看護の実際」
  講師:富山 美由紀(のぞみハートクリニック看護師長 慢性心不全看護認定看護師)

 対談 「地域住民の療養生活を支えるオンライン診療・看護の課題と今後の展望など」
     谷  知子  (神戸市看護大学医科学分野 教授)
     水川 真理子(神戸市看護大学いちかんダイバーシティ看護開発センター特任講師
            慢性疾患看護専門看護師)
     富山 美由紀(のぞみハートクリニック看護師長 慢性心不全看護認定看護師)
     苫田 ひとみ(神戸市看護大学いちかんダイバーシティ看護開発センター特任助教 
            在宅看護専門看護師)

 

一 般 企 画 Ⅳ

 「看護実践力を養う代替実習の設計」

 コロナ禍の中、大学では、教員による学生の学びの継続、看護実践力を養う教育について試行錯誤が続いています。
第5回学術集会では、シミュレーションをベースとしたオンライン演習や代替実習、LMS(学習管理システム:Learning Management System)を活用した訪問看護代替実習について各パネリストの先生方からお話しをいただきました。
 第5回学術集会から、1年が経過しようとする中、新たなパネリストを招き、コロナ禍で変化が求められた教育に対して、各パネリストが学習目的・目標の達成に向けて柔軟に対応していった代替実習の設計紹介とディスカッションを行います。

 講演1 「地域住民参加型の慢性期看護実習(仮)」
  講師:北得 美佐子(東京医療保健大学 和歌山看護学部 看護学科 准教授)
 講演2 「臨床ナースを巻き込んだ代替実習(仮)」
  講師:野島 敬祐(京都橘大学 看護学部 看護学科 准教授)
 講演3「LMSを活用した訪問看護代替実習(仮)」
  講師:小池 啓子(埼玉医科大学短期大学 看護学科)
 講演4「教育用オンライン電子カルテ活用した周手術期代替実習(仮)」
  講師:船木  淳 (神戸市看護大学)

 ディスカッション
  北得 美佐子(東京医療保健大学 和歌山看護学部 看護学科 准教授)
  野島 敬祐 (京都橘大学 看護学部 看護学科 准教授)
  小池 啓子 (埼玉医科大学短期大学 看護学科)
  船木 淳  (神戸市看護大学)